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2007年9月30日 (日)

民主主義を殺すもの

日本とアメリカの違いはいろいろあるが、選挙の考え方もかなり違う。

日本では選挙にお金をかけることは悪いことだと思われている。

お金をかけすぎると、すぐにマスコミに「金権政治だ!」って批判をされてしまう。一度金権政治化のレッテルを貼られると、悪役のイメージが付いてしまうために、有権者たちから敬遠されてなかなか当選できない。だから候補者たちは極力選挙運動を質素に見せようと努力する。たとえば選挙のスタッフたちは手弁当で応援のかたちを取ったりする。また法律でも候補者一人に対して事務所や選挙カーは何台までとか、うぐいす嬢や選挙スタッフは何人までといった具合に規定してある。細かなところでは事務所に飾るダルマやちょうちんの数まで規定している。

こんなことを全然気にしないのがアメリカの選挙だ。

もし皆さんがアメリカに行って選挙にお金はかけてはならないなんて言ったら、アメリカ人からけげんな顔をして、「ホワイ?」って聞き返されてしまうだろう。

なぜなら、アメリカ国民は選挙にお金をかけるのが当たり前と思っているからだ。

彼らはお金をかけるから知名度のない新人議員であってもチャンスがあると信じている。とくに自国のトップとなる大統領を選ぶ選挙となれば、その候補者がどのような候補者であるかを知るために、お金をかけなければならないと思っているのである。だから大統領選となれば、各候補ともジャカスかお金をかけて全国を遊説するし、テレビコマーシャルをどんどん流すのである。

もっとも日米のこの違いは、選挙資金の集金方法の違いからきているのかもしれない。

日本の場合は基本的に、一部の政党を除いて、企業の献金に頼っているのが現状だ。

表面上はパーティ券購入のような個人献金の形式を取っているが、実際は各企業に割り当てられた券を個人名で購入している現状だ。オジサンの勤めている会社にも選挙の時期になると、「パーティ券の購入お願いしま~す」って、いろいろの関連企業から依頼がくる。このような選挙資金の集金方法が、企業との癒着を生むのではないかという懸念があり、日本では選挙にお金をかけないほうが良いという考えになるのだと思う。

ところがアメリカの場合はどうかというと、もちろん有力な企業やお金持ちがスポンサーになったりするかもしれないが、大部分は一般国民の個人献金が大きなウェートを占めている。

一般の国民が自分の応援したい候補者に、100ドル、200ドルといった献金をするのだ。人気のある大統領候補者になると、選挙権を持っていない女子高生でさえ、アルバイトをして得たお金の一部、たとえば10ドル、20ドルといった寄付をしたりする。能力のある政治家、人気のある政治家であればそうとうな選挙資金を調達することができる。それを宣伝費や遊説などの資金にあってているのである。こんなところから選挙にお金をかけることにアレルギーが無いのかもしれない。

大統領選に関していうと、かけるのはお金だけではない。相当な時間もかけるのである。

アメリカ人は実質2年間をかけて大統領を選ぶのである。

このアメリカの大統領選挙であるが、皆さんもご存知かもしれないが、非常に複雑な選挙方法が取られている。

まず、大統領選挙が行われる年の2月から6月にかけて、予備選挙というものが行われる。アメリカでは共和党と民主党の2大政党制を布いており、各党の候補者を一般有権者が選ぶわけであるが、それぞれの州によって若干の違いはあるが、間接選挙で行われる。

そして、それぞれの党で選ばれた候補者が11月の大統領本選に臨むわけであるが、このときの11月の本選も一般有権者が投票した総数で大統領が選ばれるわけではない。これまた間接選挙を採用している。各州で勝利した候補者がその州の選挙人団という人たちを獲得し、その選挙人団の人数を多く獲得した候補者が大統領となるのである。

2000年の大統領選は稀にみる接戦で、民主党のゴア候補に投票した一般有権者数が多かったにもかかわらず、間接選挙人数を多く獲得したブッシュ候補が大統領に選ばれるという矛盾も生じてしまった。

この時のニュースを見て、「アメリカ人ってバッカじゃないの!予備選や本選なんて止めて、最初から複数の候補者を直接選挙で選べばいいじゃん!」って思った読者は多かったのではないだろうか?確かに最初から直接選挙にすれば、時間もお金もかからずに済むはずである。

ところがじつは、彼らはわざと大統領選挙を複雑にしているのである。

これは日本人にはあまり知られていないことかと思うが、この複雑な大統領選挙方法の原形を考案した人は、ジョージ・ワシントンと建国の父たちである。

ジョージ・ワシントンが憲法制定委員会議長になったとき、このアメリカ合衆国という人類史上初めての民主主義国家を永続させたいと思った。そこで彼は民主主義の国家がどのように衰退していくかを歴史の中から学ぼうとしたのである。ところが、当時のヨーロッパの国々では王様のいない国家はなかった。ましてや民主主義の国家なんてものはなかった。つまりジョージ・ワシントンが教科書とする国家がなかったのである。

そこで彼が注目したのは古代ローマであった。

古代ローマでは最初のころ共和政(民主政とほぼ同義)を取っていた。すべてのことは貴族の代表者の合議で決められていた。その民主的なローマがなぜジュリアス・シーザーという独裁者に乗っ取られてしまったのか。ジョージ・ワシントンは彼の仲間たち(建国の父たち)と徹底的に、このころのローマと独裁者・シーザーを研究したのである。

そしてひとつの結論に達した。

独裁者は民衆の熱狂から生まれる。

シーザーは執政官になると、国有地を貧しい平民に分配する法律を制定し、ガリア地方の遠征を成功させた。またシーザーは大変な雄弁家でもあったので、平民たちからの人気は絶大なものがあった。その彼がローマに軍隊を入れてクーデターを起こしたのである。ローマに入ってきたシーザーに対してローマの大衆はブーイングをしたかというとまったくその逆で、シーザーは民衆の歓呼で迎え入れたのである。シーザーのクーデターは大衆の熱狂なしでは成功しなかった。

つまり我々が最も恐れなければならないのは、独裁者ではなく、独裁者を生み出す我々国民の熱狂なのである。

国民の熱狂こそが民主主義を殺す。ジョージ・ワシントンはそう考えた。

だからジョージ・ワシントンと建国の父たちは、大統領が国民の熱狂によって選出されることがないように、このように時間のかかる、かつ複雑なシステムにしたのである。

国民の熱狂は短時間である。どんなに人気のある候補であっても、国民の熱狂は2年間も続かない。また2年間かけて選挙をすることによって候補者一人ひとりを有権者たちは観察することができる。どんなに完璧に見える候補でも、2年間かけて選挙をすれば、ひとつや二つのアラが見えてくる。候補者が神格化されることを防ぐことができるのである。

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ところで、おそらく独裁者と言っても、多くの日本人にはピンとこないと思う。

今の日本は民主主義の国で、憲法で基本的人権が保障されているし、三権分立がなされている。しかも戦争も無く平和だ。だからほとんどの人たちは独裁者なんて遠い国のことで、日本には全然関係ない話しだと思っていることだろう。でも、独裁者はどこにでも出現するのである。日本であっても例外ではない。

日本にも独裁者が現れる可能性があるという話しをしたい。

たとえばこんな以下のケースを考えてほしい。

ある日のこと、かいちゃんという天才政治家が日本に現れた。

かいちゃんは菜食主義で虫もころさない、とても性格が優しい人だった。かいちゃんの生活はとても質素で誠実そのもの。かいちゃんは禁欲主義者で、汚職の「お」の字も見当たらない清廉そのものだ。またかいちゃんはかつては画家をめざしたこともある芸術家タイプで雄弁家。彼と会った人たちがかいちゃんの人間的魅力にとりつかれてしまうほどのカリスマ性をもった人であった。かいちゃんは理想的な政治家であり、非の打ち所がなかった。少なくとも多くの人たちにはそう見えた…。

そんなかいちゃんがある時、国民の人気を背景に日本の内閣総理大臣になった。

かいちゃんは総理大臣になると同時に、強力なリーダーシップを発揮して、現在の日本の諸問題をすべて解決してしまった。

たとえば、かいちゃんは巧みな経済政策の実行により景気を活性化し、いままで就職したくても就職できなかったフリーターの人たちや派遣社員の人たちが正規雇用できるように法律を作った。そして格差のない社会をみごとに実現し、国民のすべてが豊かに生活できるようになった。

また、国民の年金を食いものにしている社会保険庁を即座に解体し、プロフェッショナルな投資集団を組織して、巧みな投資により、増税することなく年金基金の財源を創出し、国民の老後を保証することができた。これで日本国民が老後の不安なく安心して生活ができるようになった。

隣国による拉致問題に関しては、諜報機関をフルに活用し、拉致被害者の所在を調べ、ピンポイントに空てい部隊を送り込んで、一人の血も流すことなく、被害者全員の救出に成功したとしよう。

こんなかいちゃんという有能な首相が日本に現れたら、皆さんは熱狂しないだろうか。そしてこの人にずっと自分たちのリーダーでいてほしいと思わないだろうか。

そんな時にかいちゃんが皆さんにこう言ったとしたら、皆さんはどう判断するだろうか?

「私に全権を与えていただければ、もっと豊かな日本を造ります!」

こんな有能な人格者であれば、全権を彼に与えちゃってもいいかな…なんて思ったりしないだろうか?

「そんな、神様じゃないんだから、日本が抱えているそれらの諸問題をすべて解決するなんてできっこないじゃないか!」って反論する人もいると思う。

もちろん、かいちゃん(オジサンのこと)にはそんな能力はまったくないので、かいちゃんは独裁者なんかになれっこない。せいぜいなれるのはウサギの独裁者くらいだ(我が家ではうさこを12匹飼ってるのです…)。

ところが、そんな神様のようなことを実際にやってのけた人間がいるのである。

アドルフ・ヒトラーである。

ヒトラーというとほとんどの日本人はドイツの独裁者でユダヤ人を虐殺した恐ろしい人とだけしか知らないのではないだろか。

ヒトラーに関して我々がしっかりと知っておかなければならないことは、

ヒトラーは当時、世界で最も民主主義的と言われたワイマール憲法の下で、合法的に独裁者になったということである。

そして次にヒトラーに関して知っておきたい重要なことは、彼は天才だったということである。

つまり天才がひとたび出現すれば、民主主義の社会でも合法的な方法で独裁者となる可能性があるということである。

ヒトラーがどれほどの天才だったかを知るために、最初に当時の社会的な背景を知っておく必要がある。

1929年10月24日にニューヨークのウォール街で端を発した株価暴落は、瞬(またた)く間に世界を飲み込んで大恐慌となった。一瞬にして財産を失った人たちは路頭に迷い、自殺する者も続出した。ウォール街では歩くときに上を見て歩け!と言われるほど、ビルからバラバラ人が降ってきたという。この日だけで、11人の飛び降り自殺者が出たのだ。また企業の倒産や閉鎖が相次ぎ、あっという間に世界中で失業者があふれ出した。

もっとも世界恐慌の打撃を受けたのはドイツだった。

第一次世界大戦で敗戦したドイツには、ベルサイユ条約で莫大な賠償金の支払いが命じられていた。その金額たるや天文学的数字で、孫の代まで払い続けても返せないと言われていた。

そんな巨額の賠償金支払いで国家財政が苦しいドイツに世界恐慌が襲ったのだからたまらない。すぐに国家財政は破綻し、たちまち巷(ちまた)には大量の失業者が出てしまった。その数なんと600万人。じつにドイツ国民の5人に1人は失業してしまった。当時の失業は今の我々の失業と深刻さが違う。我々日本では失業すれば失業保険が出るし、給料の条件を考慮しなければコンビニでも、工事現場のガードマンとしてでも働くことはできる。ところが1930年代の社会では失業したらアウト。なんの保証も働き先も見つからず、路上生活で乞食をするしかないのである。失業ということが彼らにとってどれほど深刻で恐ろしいものであったかがわかると思う。

そんな恐ろしい失業問題を短期間で解決したのがヒトラーである

1933年の選挙によってドイツの国民議会の第一党となったナチスのヒトラーは合法的にドイツの首相になった。そしてまずやったことは、アウトバーンの建設をはじめとする公共工事である。

今でこそ不況になれば市場を刺激するために、公共投資をするということは誰でも知っている。

不況のときに公共投資が効果的であることを初めて提唱したのは、近代経済学の祖、ジョン・メイナード・ケインズというアメリカの官僚である。彼は「雇用・利子および貨幣の一般理論」という本を1935年に出版し、その著書のなかで不況時に人工的に需要を増大させる政策の有効性を証明した。それ以降、不況時に公共投資をする国が増えてきた。

しかし、ヒトラーが首相になった1933年時点では、不況に公共投資が有効であることはだれも知らなかった。

むしろ国家は経済に介入してはならないと思われていた。

この時代の経済学の主流は古典派経済学。古典派経済学の祖、アダム・スミスは「国富論」という本の中で、レッセフェール(自由放任主義)を提唱した。国家がなにもしなければ、市場は見えざる神の手(市場原理ー需要と供給バランス)によって最大多数の最大幸福を実現すると主張した。アダム・スミスの説はそれまでの小さな不況には効果を発揮した。だから今回の不況でも、どの国もこの大不況の中で何もせず、いずれは市場の健全性がもどると信じてじっとしていた。しかし経済が好転する兆しはまったく見られなかった。

各国政府は古典派経済学者たちに何度も意見を求めたが、彼らはいずれ市場は回復すると言うのみ。ところが不況はどんどん悪化して行ったのである。そのうち古典派経済学の大家たちは、「これは古典派経済学の理論が間違っているのではない。回復しない市場が間違っているのだ!」、なんてことを言い出す始末。

そんな時に、古典派経済学のレッセフェールなんてゴミ箱にポイしちゃって、ヒトラーただ一人が公共投資をしたのである。

ヒトラーが公共投資をしようとした時、そんなことをしたら市場はさらに大混乱を起こしてしまうってことで、ヒトラーの側近たちやドイツの経済学の大家たちは止めようとしたが、ヒトラーは一切聞く耳を持たず、公共投資を続けた。そうしたところ当然のことと言うべきか、景気は回復し失業問題は短期間で解消したのである。しかも通常公共投資をするとインフレが起こるのであるが、特筆すべきは、ヒトラーは巧みに市場を調整しながら公共投資をしたので、この時インフレを起こさずに市場を回復させたのである。

驚くべきとしか言いようがない。

ヒトラーは若い頃は画家志望であったので、経済学の「け」の字も知らなかったはずである。なぜ公共投資が不況に有効であることをヒトラーが知っていたのか。天才は生得の知恵があるということなのかもしれない。

この大不況で世界中がのた打ち回っている時に、ヒトラーのみがドイツ経済の立て直しに成功したのである。

当然のことながら、ヒトラーの国民的人気はうなぎのぼりのように高まった。

次にヒトラーが行ったのは大ドイツの復活である。

第一次世界大戦で敗戦国となったドイツにはベルサイユ条約で、多額の賠償が義務付けられただけでなく、軍事力の制限と広大な領土の譲渡があった。ドイツ人にとってこれは屈辱的な条約であった。ドイツ国民の尊厳や自尊心はこの条約でボロボロであった。

そのドイツ人にとって恥辱とも言えるベルサイユ条約を、1935年にヒトラーは一方的に破棄すると宣言したのである。

そしてヒトラーは一挙に陸軍の規模を12倍にするべく、再軍備を開始したのだ。

この時ばかりは、ヒトラーの側近だけでなく、ドイツ国民も震え上がってしまった。

大国のイギリスとフランスが攻め込んでくる!

ドイツ国民もヒトラーの側近もそう思った。ただしヒトラーを除いて…

ところがヒトラーはその時にイギリスやフランス国内で広がっていた平和主義運動に着目していた。

第一次世界大戦はこれまでの戦争では考えられないような戦死者を出した。その反動からイギリスやフランスでは国民に厭戦感情が高まり、いたるところで国民による平和主義運動が繰り広げられていた。

「イギリスもフランスも、国民の世論に反対して、軍事行動を起こせるような勇気のある政治家は一人もいない!」と、ヒトラーは読んでいた。

ヒトラーの読みは的中した。

イギリスもフランスもこのとき軍事行動を起こさず、ヒトラーのベルサイユ条約破棄宣言と再軍備を黙認したのである。

その後は平和主義運動の高まりで動けないイギリスとフランスを尻目に、無血で第一次大戦で取られたラインラントの領土を奪い返し、オーストリアを併合して行った。

ドイツ経済を立てなおし、失業問題を解決し、ベルサイユ条約によってボロボロとなったドイツ国民の尊厳を取り返したヒトラー。またアーリア人至上主義を説き、ドイツ民族の誇りと自信を取り戻してくれたヒトラー。

ドイツ国民が熱狂するのはむべなるかな。

ドイツ国内は欣喜雀躍、狂気乱舞の手のつけようがない状態。一神教であるキリスト教徒のドイツ人は、「神様、仏様、ヒトラー様!」とはさすがに言わなかったが、その代わりにこう言った。

「ヒトラーは限りなく神に近い人…」

一神教のキリスト教徒がこう言ったら、もうヒトラーを神だと言っているようなものだ。こうしてヒトラー神話が作られていった。

ヒトラーの行くところはどこでもドイツ国民が、「ハイル、ハイル!」の大合唱。ドイツ国民のすべてがヒトラーに心酔していた。

そんな時、「私に全権を与えていただければ、もっと豊かなドイツを実現してみせます!」とヒトラーは言った。

ドイツ国民は将来悲惨なことが起こるなんてことは誰も疑わずに、あっさりとヒトラーに全権を与えてしまった。

1935年にドイツ国内で国民投票が行われた。

そしてなんと国民の90パーセント以上という圧倒的支持で、首相と大統領の兼任(行政権の完全な掌握)、立法権、軍隊の指揮権といった、司法権を除くすべての権力をヒトラーに渡してしまったのである。

こうして三権分立という鎖がはずされ、リバイアサンという怪物が解き放たれたのである。

その後は、皆さんもご承知のように、誰もヒトラーの暴走をくい止めることができなくなり、世界は人類がいまだ経験したことのない第二次世界大戦という大惨事に突入していったのである。

.

日本にヒトラーのような天才が現れたとき、はたして我々日本国民は冷静な判断ができるだろうか?皆さんには独裁者を出さない自信がありますか?

.

国民の熱狂こそが民主主義を殺す。

ジョージ・ワシントンの慧眼(けいがん)は、はからずも他国の歴史が証明した。

アメリカの大統領は、行政権、軍隊の指揮権および立法に対しての拒否権という強い権力が与えられている。

だからこそ、ジョージ・ワシントンは国民の熱狂から独裁者になろうとする候補者が出ることを恐れたのである。

建国以来200年以上、アメリカ合衆国に一人の独裁者も出現しなかった理由は、ジョージ・ワシントンと建国の父たちが考え出したこの複雑な選挙制度にある。各政党の候補者選びから、予備選、本選と実質2年間という時間をかけてアメリカ国民は大統領となるべき人をじっくりと観察していく。そうすればひつじの皮をかぶった狼のどす黒い野望を見破ることができるのである。どんなに選挙に時間とお金がかかろうが、あるいは集票に手間取ることがあろうが、おそらくアメリカ国民はこの大統領の選挙方法を変えることはないだろう。

死してなおアメリカの民主主義を守り続けるジョージ・ワシントン。

ジョージ・ワシントンが歴代の偉大な大統領の中でも、ナンバー・ワンであることに異論を唱える者は一人もいないであろう。

あとがき)

ふ~うっ!

お疲れ様でした。今回はちょっと分量が多すぎましたでしょうか?最後まで読んでいただいた方は何人いるのかしら、ちょっと心配…。

昔と違って最近は日本国憲法を改正しようという議論がときどきされます。その際に日本もアメリカと同様に首相を一般国民が直接選んだほうがよいのではないかという首相公選制が話題になったりします。でも、日本のように選挙にお金をかけることが悪いことのように見られる国では、一般国民の直接投票がとても危険であることがお分かりになったのではないでしょうか。

ジョージ・ワシントンについて今回お話したとなると、どうしてもエイブラハム・リンカーンにつても話さなければなりません。なにしろこの二人は、王と長島、大鵬に柏戸、アントニオ猪木にジャイアント馬場、ラーメンに餃子(オジサンはラーメン餃子が好きなので、へへへっ…)のような関係ですから。

宗教ブログと言っておきながら、次回もアメリカの大統領についても話させて下さい。

それじゃ、来週も読んで下さいね。

バイバイ。

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参考文献

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ヒトラーと第三帝国

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ヒトラー神話の誕生

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ヒトラー・ユーゲント

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経済学をめぐる巨匠たち

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A Short History of The World

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コメント

 今回も世界史未履修なavyaktaにとっては大変勉強になりました~。

 以前、「あのころはフリードリヒがいた」という、教科書に一部採用されていた児童書を読みました。裕福なユダヤ人の家庭の少年、フリードリヒと友達だったドイツ人の子供である「ぼく」が語る、ドイツが狂気に陥っていく過程を子供の目線で淡々と語ったものですが、そこには、ユダヤ人の職を奪ってそれをドイツ人に与える、といったようなことが書いてあったので、公共事業で不況脱出、雇用問題解決、をしてヒトラーが国民の心を掴んだのは知りませんでした。

 戦後のアメリカ式悪い食事やら添加物やらの賜物で正常な判断力を失い、本質の見抜く目を持たない大多数の、メディアに乗せられやすい日本国民をわたしは恐ろしく思います。
 
 大衆の意思が100%正しいとは限らないのは歴史が証明してますしね^^;


 先の総裁選でも、敗れた麻生太郎は(多分森辺りが某学会に、親中派の福田じゃないと連立解消、くらい言われたんでしょう)、日本人は本当は優秀でこんなに国際貢献していて云々と、今、自信喪失、先の見えない閉塞感を抱えている日本人のプライドをくすぐるようなことをごちょごちょ述べていたので、この人が勝って失言しなくなったら独裁者?とちょっと怖くもなりました。
 多分、福田さんは名前に11画(自民、の画数です。小泉以前の歴代首相は、社会党の村山総理を除いて全員11画が名前にあります)がありませんし、彼の晩年の画数は凶数ですから、短命政権に終わるのでは、とわたしは予想しています。

 麻生太郎はその11画を持っているので、今回はダメでしたが、総裁選出馬は3回まで、4回目はない、などと言われていますが、その前例を破って、いずれ総理になるのでは、と思われます。

 まあ、そんなに演説上手で優秀な政治家が出てこないのは日本にとって不幸中の幸いでしたが。

 しかしさすが吉数のアメリカですね。というか、ジョージ・ワシントンの賢さ、先見の明はすごいことだと思います。
 日本は、…凶数なんですよね。そのうち中華人民共和国日本省になってしまうのでは、とすら危惧しております^^;

共和制末期のローマにしろ、第一次大戦後のドイツにしろ劇的な変化が必要とされていたという状況では一緒ですね。急速な革新には独裁者の出現が一番効果的である事はよく言われることですし、やはり時代が求めていたという事なのでしょうね。
アメリカが独裁とは無縁である今の状況はジョージ・ワシントンの素晴らしい功績ですね。
話しは変わりますが、カエサルもやはり暗殺されなければ暴走しちゃった可能性もあるんでんでしょうか。そう考えると、暴走しなかったアウグストゥスに好感を持てますね。

avyaktaさん

いつも応援ありがとうございます。

>公共事業で不況脱出、雇用問題解決をしてヒトラーが国民の心を掴んだのは知りませんでした。

そうなんですよ。おそらく多くの人たちがヒトラーの経済センスのすごさを知らないと思うのです。

なぜかというと、歴史の教科書でも、歴史物語でもヒトラーが行った残酷な行為ばかりを強調して、ヒトラーがどのような能力を持っていて、どのようにしてドイツ国民のこころをつかみ、そしてどのようなプロセスで独裁者になったかを伝えているものは少ないのです。

たぶん、これはヒトラーがそのような優れた能力を持っていたことを伝えることにためらいがあるからなのでしょう。ユダヤの人たちや多くのヒトラーに虐殺された人たちに気を使ってのことなんだろうと思います。「ヒトラーはこんなにひどいことをした悪いヤツ!」ってことだけを伝えたいのだろうと思います。でもヒトラーの持っていた能力を隠すことは、本当の独裁者の恐ろしさを伝えていないのではないかという気がします。独裁者はどこでも出現する可能性があるのですから…

>彼の晩年の画数は凶数ですから、短命政権に終わるのでは、とわたしは予想しています

そうですか。画数占いによると福田政権は短命に終わるかもしれないんですね。私も画数占いを一時信じていたことがあって、子供の名前をつけるときに漢字の画数を数えました。福田政権が来年の今頃に行き詰ったとしたら、また信じちゃいますよ~。

>そんなに演説上手で優秀な政治家が出てこないのは日本にとって不幸中の幸いでしたが

ヒトラーの演説の上手さはちょっと常識でははかれません。

いまから5年ほど前に、バイエルンの国立資料館というところで、戦前にヒトラーが起こした事件の裁判記録が発見されたのです。そこにはヒトラーのレトリックのすごさに関して、信じられないようなことが記録されていました。これについてはこのブログで書きませんでした。なぜかというとちょっとオカルト的になってしまうからです。いずれavyaktaさんの裏ブログで紹介させていただきますね。

>そこにはヒトラーのレトリックのすごさに関して、信じられないようなことが記録されていました。これについてはこのブログで書きませんでした。なぜかというとちょっとオカルト的になってしまうからです。いずれavyaktaさんの裏ブログで紹介させていただきますね。

楽しみにしております~(^^

 実はヒトラーが菜食主義だったと伺い、菜食主義者と大量殺人者がどうも結びつかなくて、頭を悩ませていたのです。

タクトさん

いつもコメントありがとうございます。

>急速な革新には独裁者の出現が一番効果的である事はよく言われることですし、やはり時代が求めていたという事なのでしょうね

たしかに、急激な変化のある時に、独裁者が現れますよね。シーザー、ナポレオン、ヒトラー。また逆に、偉大な人物も現れますよね。ワシントンやリンカーンなどは、まさに「この人じゃなければダメ!」って感じで、right time and right place に、歴史に登場しましたよね。神様がこの時期を見て正しい人をこの世に送り込んだような気がします。

2期目を迎えたビル・クリントン大統領は、偉大な大統領の歴史を意識しはじめて、側近にどうしたら偉大な大統領クラブに入れるかを相談したそうです。その時側近は、なんらかの激動とも言える国際紛争などが起きなければむつかしいと言ったそうです。たしかに歴史というのは、飢饉、暴動や戦争といった事件の記録であって、平和にのんびりしていた時期というのは記録されないんですよね。

ビル・クリントンは、国際紛争に巻き込まれることもなかったし、双子の赤字を解消し、アメリカの歴史上もっとも最長の好景気を実現したのですから、有能な大統領でした。また当時としては、パレスチナとイスラエルの仲介をして、中東和平を実現しました。こんな有能な大統領が偉大な大統領クラブに入れないのはちょっとおかしいような気がします。モニカちゃんとの件がたたっているのでしょうか…。

>アメリカが独裁とは無縁である今の状況はジョージ・ワシントンの素晴らしい功績ですね

2月はワシントンとリンカーンの誕生月ということで、アメリカでは第三月曜日が「大統領の日」という祝日になっています。この偉大な二人はアメリカ人の国民気質に多大な影響をおよぼしていますが、ほとんどの日本人がこの二人の人物を知りません。たいがいの日本人の理解は、ワシントンは初代大統領で桜の木を折ったことを告白した正直者、リンカーンは奴隷解放をした人道主義者程度です。

せっかく英語を勉強して、アメリカ人ともコミュニケーションを取ったりするのであれば、ぜひアメリカ人という国民がどういう人たちであるかを知っていただきたいと思い、前回のブログシリーズでは、私の知っている二人の人物像を「アメリカン・ヒロー」と「五ドル紙幣の偉人」で書かせていただきました。

この二人こそがアメリカの民主主義国家を作り上げたんですよね。だから建国の父と言われているんです。それがちょっとでも読者の皆さんに伝われば嬉しいのですが…。

>カエサルもやはり暗殺されなければ暴走しちゃった可能性もあるんでんでしょうか

民主的社会から出現した独裁者が、かならずしも暴走するとは限りませんよね。ひょっとしたら理想的な社会を作ったかもしれません。ただ独裁制はいったん暴走すると誰も止められないのが問題です。

ヒトラーは経済を回復した時点では、国民はみんな幸せだったのですが、途中から暴走しちゃったんですね。最近のヒトラー研究でわかってきたことは、ヒトラーの病気も関係しているらしいのです。ヒトラーは「筋萎縮症」という難病にかかっていたらしいのです。彼がいつも左手を腰にあててスピーチするのは、じつは左手の震えをごまかすためであったということです。「限られた」時間内に、理想とする第三帝国を築きたいという願望があのような暴走につながったという説もあります。またこの病気は当時、治療方法が確立していなかったため、主治医がいろいろなクスリを処方したのですが、その中には麻薬も入っていました。最後の方は、麻薬でラッリちゃった状態で軍隊を指揮していました。現実と妄想の世界の区別がつかなくなっていたようです。そんな精神障害をきたしているリーダーを引きずりおろせないところが、独裁制の怖いところでもありますよね。

avyaktaさん

またまたのコメントありがとうございます。

ヒトラーは若い頃は芸術家志望で、菜食主義者で虫も殺せないようなやさしい性格だったそうです。それがなぜあのようになってしまったのか。本当に権力というのは魔物だと思います。

ヒトラーのオカルト的部分を、avyaktaさんの裏ブログのコメント欄をお借りしてぜひ書かせて下さい!

よろしくお願いいたします。

先日は、ブログ再開のお知らせをいただきありがとうございました。
子供の運動会も終わりましたので(笑)、じっくり読ませていただきました。
大変勉強になりました。ありがとうございます。

>独裁者は民衆の熱狂から生まれる。
まさにその通りですよね。

ヒトラーの人心掌握術は巧みだったようですね。以下は、私が昔聞いた話で、うろ覚えなので間違っているかもしれませんが…。

ヒトラーが街頭で演説をしている時、民衆はある程度かたまって話を聞いていますよね。その回りを親衛隊が取り囲んでいるのですが、話が盛り上がってくるにしたがって、その集団を内側に内側に、親衛隊が押して行くのだそうです。そうすると、どんどん人との距離が近くなり、体温も上がってきて、その熱狂がますますヒートアップしてくる…と。
その熱狂という気持ちの高ぶりが、「この人しかいない、この人なら大丈夫!」だと思わせてしまうのでしょうね。

熱狂するほど心酔する、というのは、その人が自分や自分の国に、繁栄と幸福と利益をもたらしてくれる、と信じるからでしょうね。それは世界大恐慌の時のような全世界的な危機の際には、他国を侵略・略奪することに繋がってしまいます。仮想敵国があれば、国が一致団結する、というのもありますね。

国際社会の一員としては、自分や自国の幸福が他者の不幸の上に立ったものでないことを見極めながら、進むべき道を決めないといけないのでしょうね。

その他の宗教に関する記事も大変勉強になりました。
「こういうことを信じている人もいる」という相手の信念や文化を理解することから、まずは始めたいと思っています。それを同じように信じることができなくてもいい、ただ「相手がそれを信じている」ことを尊重できる人間になりたいと思うし、自分や自国の価値観を押し付ける人間にはならないように気をつけたいと思っています。

Rachさん

お忙しい中ご訪問いただきまして、ありがとうございます。

>話が盛り上がってくるにしたがって、その集団を内側に内側に、親衛隊が押して行くのだそうです

そのようなテクニックを使っていたのですね。ヒトラーのカリスマ性というのは、たぶんに心理的なものを研究して、人為的に創り出されたものだったようですね。オーム心理教の技法もこれによく似ていますね。

ヒトラーが禁欲主義者であったということも、周囲に対してカリスマ性を創り出すためのウソであったようです。

そんなヒトラーが最後に一度だけ人間臭いところを見せたんです。

彼にはエヴァ・ブラウンという恋人がいました。ヒトラーはその事実をずっと隠してきました。このエヴァという女性は、控えめな女性で若い頃からのヒトラーを支えてきた人でした。ヒトラーは敗戦濃厚な局面において、ベルリンの地下に立てこもっていたのですが、エヴァには来ないように言っていたのです。しかし彼女はヒトラーと最後を遂げる覚悟で会いに来ました。それだけ彼を愛していたんです。

彼は最後に彼女といっしょに自決するする時、エヴァのために地下室で結婚式をあげたのです。

これによって周りに対する、最後のヒトラーのカリスマ性がなくなりました。周りの側近たちは、「ヒトラーもやっぱりタダの人だったんだ」と思ったそうです。

いまでもその時の結婚契約書が残っています。エヴァのサイン欄には、Eva のあとに、二本線で消されたBのつづりがあり、そしてHitler と書いてあるんです。間違えてEva Brownと書こうとしてしまったんですね。結婚式のあわただしさが現れています。

エヴァは幸せだったのでしょうか…?この女性に対しては哀れさを感じます。

ところで、Rachさんのブログも絶好調ですね!この一年間を通して見ていると、ブログランキングで常にベストテンにいるのは、リウマチばあちゃんとRachさんだけですね。すごいことです!英検ネタの時しかコメントしないのですみませんが、今後ともがんばってください。

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